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バックナンバー 螢光板
586号/2008. 9月号

 8月20日、福島県立大野病院事件の無罪判決が下った。地裁の結論は現在の医療水準に照らして、手術そのものは標準的なもので過失はないとした。これは、医師の裁量権を広く認めたものである。人の生命は何ものにも変えがたいものであり、遺族の心情を思うと手放しで喜べないが、固唾を飲んで見守った関係者はほっとしているのではないか。

 ▲04年、帝王切開手術で女性を死亡させたとして執刀医が業務上過失致死罪に問われた事件で、主な争点は執刀医の行為を問うもので、とくに癒着胎盤の剥離操作が適切に行われたか否かにあった。また、その後の大量出血が予見できたか、その対応に問題がなかったかなどの死因と関係する点に集中した。

 ▲2年の歳月を要して14回の公判で結審したが、この間、日本産婦人科学会および全国医学部長会議などから本件に関しての声明が表明され、高い関心が寄せられていた。

 ▲関係者の間では「ある確率で起こる不可避な事態まで刑事責任を問われるなら医療は成り立たない」、という反発があり、産科関係の施設の閉院が相次ぎ、このままでは医療の崩壊は免れないとまでいわれていた。

 ▲発端は県の「医療事故調査委員会報告」をもとにしたもので、捜査段階で医師を逮捕、起訴した点にも問題があったのではないか。

 ▲医療には様々な危険が伴うもので、だからこそ事故の再発防止には原因究明が必須で、その結果を患者や家族が納得出来るように誠実に説明し、調査の結果から患者側の不信感を取り除き、安心安全の医療の実現が出来うる環境つくりこそが急務ではないか。



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