- バックナンバー 螢光板
- 592号/2009. 4月号
▼本号が発行される頃には古い話になってしまうだろうが、WBC(ワールドベースボールクラシック)の際、心に残ったことを2つ。
▼1つ目は、決勝ラウンドで、日本がアメリカに勝った時のこと。マスメディアでは「90年来の悲願達成!とうとうアメリカ野球に勝った!」という見出しが踊っていた。野球の本家本元に快勝して舞い上がった日本人キャスターに、「負けてどう思うか?」とマイクを突きつけられたアメリカ人老紳士の答は、次のようなものだった。
▼「日本の野球はすばらしかった。チーム全体が見事に機能して、アメリカは完敗だった。今日は、日本チームに脱帽だ。」‥‥日本対韓国の試合が繰り返され、お互いややもすると感情的になっていた時だったので、冷静に試合を評価し、「今日は」と相手を賞賛した態度に、何だか感動してしまった。
▼もう1つは、お察しの通り、我らがイチローである。
▼天才イチローをして「心が折れそうになった」という絶不調の中で、最後に試合を決めるヒットを打ったのにはもちろん感激した。しかしそれよりもっと心に響いたのは、彼がその後、胃潰瘍で大リーグの戦列を離れたことだ。潰瘍になるほどのストレスという、重圧の大きさもさることながら、それでも結果を出したプロとしての気概に、圧倒されてしまった。
▼プロは切磋琢磨の末に結果を出して和す。素人は仲良くして結果を出そうとする‥‥と何かで読んだことがある。そういえば、「お友達内閣」と揶揄された内閣もあった。単なる「仲良しクラブ」では結果は出せない。そういうことだ。

