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バックナンバー 螢光板
596号/2009. 9月号

 若田光一宇宙飛行士が先日、日本人初の宇宙長期滞在(4か月半)を無事成功させた。国際宇宙ステーションに滞在しながら、日本初の有人宇宙施設である「きぼう」モジュールの最終組立てを行った。若田飛行士は、帰還直後の会見に自力で歩いて登場し、元気な姿をアピールした。これは長期滞在員としては珍しいことで、長期滞在後は、微小重力による様々な身体への影響で健康体であったはずの宇宙飛行士が立っていることも出来なくなることが多い。微小重力では、身体各器官への重力の負荷がなくなることで、長期臥床で現れるような抗重力筋の萎縮、心筋の萎縮、循環血液量の減少、骨密度の減少などが起こる。6週間の安静臥床で左室心筋量が8%減少するという報告がある。これらをある程度予防するため宇宙滞在中には運動を行う必要がある。現在、国際宇宙ステーションでは、準備等を含めて2時間半の運動のためのスケジュールを、ほぼ毎日確保することがNASAの基準で推奨されている。若田宇宙飛行士が異例にも帰還直後に元気に会見に臨めたのは、これまでの長期滞在員以上に毎日長時間の運動をしっかりと行ったからと推測されるが、このことは翻って、我々が毎日、意識せずにも重力に逆らって普通に活動していることが健康にとっていかに大事かということを示している。向井千秋宇宙飛行士は常々「重力の真の影響をみるためには、静かなところで聴力検査をするごとく、重力の無い宇宙で研究を行う必要性がある」と言っている。宇宙開発は重力の有り難みを再認識させてくれるようである。



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