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バックナンバー 螢光板
605号/2010. 7月号
 

 最近巷では、「キャスター付きラゲージ」が目につく。これも、生活様式が西欧化(グローバル化)した結果であろう。旅行に便利なので以前から筆者も愛用している。

 我が国の住生活では玄関で履物を脱ぐ。ところが件のラゲージは、履物同様道路の上を通りながら、キャスターを脱がずに室内に入ってくる。おそらく、玄関で履物を脱ぐ習慣は、地球上でも限られた地域のものだ。したがって、外国人の多くは、はじめ奇妙に感じただろう。だからといって、土足で室内に入ろうなどと考えた日本人はおらず、今でも玄関で履物を脱いでいる。そこで、我が家では旅行から帰ると、キャスター部分を入念に洗浄することになる。

 このように、日本には独特の文化と習慣がある。もちろん医療の世界でも然りである。例えば、なぜ脳死移植が増えないのかを考えてみれば明らかであろう。西洋人とは生死感が違うわけで、二つの命から一つを生かすという発想は日本人には馴染まない。さらに、我が国には世界に冠たる「医療保険制度」が存在し、国民は長年にわたりその恩恵を受けてきた。在院日数の短縮は外国で徹底されている。これは医療費の削減に繋がるものだが、医療を民間の保険に委ねてきたことの帰結である。医療崩壊の危機が叫ばれ、待ったなしの改革が必要である。

 しかし、いつかの政権のように「グローバル化」とか「経費削減」を強調すると、崩壊がさらに深刻化するのではないかと危惧する。待ったなしだからといって、対症療法を施すと取り返しがつかなくなる。腰の据わった議論をして欲しい。



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