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バックナンバー 螢光板
613号/2011. 5月号

 先日、ダンボールに入れたまま放置していた本を整理した。中から1枚、ウサギの写真が出てきた。大学生の頃、家で飼っていた小型ウサギである。実験用ではない。家で小動物を飼うのは久しぶりで、この時は母親の抵抗を受けた。当然である。動物の世話というと結局、彼女が引き受けることになるのだから。灰色をしたこのウサギの時は最終的に、非常食と毛皮の付帯価値あり、ということで許可を得た。それで母親が納得した訳ではない。お互い暗黙の了解である。その数年後「この子も、歳をとって肉も硬かろうし、毛皮にするにはお尻のところの色がダメねえ。」という皮肉をおひとつ頂戴し、ウサギはとうとう正式に家族の一員と認められた。

 このウサギを飼うずうっと前、幼稚園にあがる前のことだった。兄は大好きな猫を飼いたいのだが、それを父親がガンとして受け付けない。そんなある日、私は小児科の先生の所に予防注射を受けに連れて行かれた。注射では何時も泣いていたのに、その日初めて、泣かなかった。すると、その先生が「ご褒美をあげるからお外で待っていなさい。」という。その先生は両親よりずっと年長で、父も大変尊敬していた。なんと、その彼女が抱えてきたのは白地に黒の斑がある子猫だったのである。猫好きの先生だった。今では考えられないが、その子猫をデパートの紙袋に入れて母と2人、家まで続く50m位の小道をうきうきしながら帰ったと記憶する。兄の喜びは当然だが、不思議なことに、この猫は父の反対を受けることもなく、その日から家の飼い猫ミーちゃんとなった。



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