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バックナンバー 螢光板
631号/2013.3月号

基本能力という観点から、歳をとることに関し、人と車は似ていると思った。22年前、ある車を購入し現在も乗っている。当時は日本車最速と謳われ、多くのサーキットで市販車レコードを樹立、レース界でも連勝記録をつくった。その車を法律の範囲内で長年にわたり徐々に改造した。

サスペンションやホイールを変え(人でいえば足腰を鍛える様)、吸排気系を変え(心肺を鍛える様)、サーキットでの事故に備え車内に鉄パイプを組込み(骨密度を上げる様)、エンジンコントロール用プログラムを変更(頭を鍛える様)等々した。しかし最近、故障も増え、特に改造部品は修理不能な場合も多く、徐々に純正品という機能的には劣る「最初に付いていた部品」への再変更を余儀なくされている。つまり人でいえば、運動、勉強をし、成長していったものが、ある点をピークに基本能力が下がって生まれたての状態に戻っていっているのに似ている。

すでに自分も基本能力の低下が始まっているのを自覚している。人は幸いにも、老化により基本能力の低下があっても、経験の蓄積などにより別の意味での向上がある。80を過ぎた父親が最近綴った文章を読んだ。息子が言うのはおかしいが、素晴らしい文章と感じた。学術論文等は例外として、年老いて基本能力が低下しているにも拘らず良い文章を書くのには、人として歳の分だけ良い経験を蓄積していなければならないであろう。自分が80歳を過ぎた時、父親のような文章を書けるようになるとは思えず、一般的な文章を書くという点で父を超せる日はこないと思った。



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