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バックナンバー 螢光板
636号/2013.9月号

ジブリ映画(宮崎駿監督)の風立ちぬを観た。これまでのアニメ映画作品と違って子供同伴の観客は少なく、これまで縁の薄かった高年者に広がりを見せている印象。

物語はゼロ戦(零式艦上戦闘機)の実在の設計者、堀越二郎の生い立ちと堀辰雄の「風立ちぬ」をアレンジした筋書きで、年代は大正から昭和20年の終戦までの物語。冒頭、90年前の関東大震災時の地鳴りの効果音とともに本郷周辺がリアルに描かれ、ここで主人公がヒロインと出会うという設定。

少年時代に美しい飛行機を作りたいという夢の実現に奮闘する主人公。そして名古屋航空製作所へ就職した昭和10年代が舞台となる。やがて日中戦争が勃発したが、欧米へ派遣され航空機について研究者に学び小型航空機の開発に確信して帰国。そして僅か20人足らずの30代の若者ともに世界最速の戦闘機の作成に没頭。

主人公が計算尺を片手にグラム単位での軽量化をはかるなど緊迫した状況の中で、面白いのは分割した飛行機を載せて牛車が飛行場まで運搬するシーンで、これを実際に見たという友人もいる。プロペラ音や蒸気機関車のエンジン音などの効果音まで計算されつくしていて観ていて飽きない。

ところで禁煙推進団体からは喫煙のシーンが多くタバコ宣伝にあたるという抗議があるという。当時の状況の再現には、これは一般的な描写でこれが社会的な影響があるとは思われないが。

ゼロ戦の誕生そして終焉までを辿る時、今を生きる者として胸の痛む思いがする。ゼロ戦が残した歴史から何を学び、そして語り継いでいくべきかを考えてみたい。



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