バックナンバー 螢光板
637号/2013.10月号

居眠りは、私の特技の一つである。学会で会場が暗くなると、猛烈な睡魔に襲われ、居眠りをしてしまう。かつて後輩が壇上から私を探した時に、寝ていたので怒られたこともある。オーストリア生まれのブリギッテ・シテーガさん著、「世界が認めたニッポンの居眠り」によれば、日本人には、人前で昼間に眠ってしまう特有の習性があるという。外国人の目には奇異に映るようだが、日本においては日常よく見かける光景なので、居眠りはある程度黙認されている。著者はケンブリッジ大学の教授であり、日本の日常生活を研究している専門家である。彼女は日本の古典文学を参照し、居眠りが平安・鎌倉の時代に既に広まっており、現代社会だけの現象ではないと述べている。一方、外国にはシエスタという、好きな時間に勝手に昼寝をする文化圏があり、仮眠をとる習慣がある。生理学的にも、1日に2回寝ることは効果があるという。彼女が日本の居眠りから学んだことを、いくつかあげてみる。

・居眠りは社会的な隠れ蓑として役立つ。
・居眠りを2分間すれば、2時間の仕事ができる体調が整う。
・居眠りすれば退屈しないですむ。
・居眠りはアルツハイマーを減らしてくれる。
・居眠りすれば長生きできる。
・居眠りすれば明朗活発になる。
・居眠りすればストレスが減る。
・居眠りすれば自信がつく。
・居眠りすれば、ひらめきが起きる。
・居眠りは楽しい。

この本を読んでからは、学生の居眠りを認める気分になり、また、車中で居眠りをし、降りる駅直前に目を覚ます、日本人の特技に敬意を表したくなった。



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