バックナンバー 螢光板
638号/2013.11月号

先日、 池袋の雑踏の中で 「謝ることができない若者」 に遭遇した。 一人は、 キャスター付きスーツケース、 それも海外旅行用の大きいものを転がしながら歩いていて、 前を歩いていた2~3歳の女の子をひっかけた。 その子は転倒こそしなかったが、 今にも泣きそうだった。 しかし、 若者は何も言わず無言で立ち去り、 その子の母親はびっくりして立ち尽くしていた。 もう一人は、 歩いている私の目の前をいきなり横切った若者で、 持っていた鞄が私にあたった。 彼は一瞬私を見たが、 無言でさっさと立ち去った。 都会の人は忙しいのかもしれない。 しかし、 「すいません」 の一言くらい言ってもよいのではないか・・と思った。

バブル期には、 人を人とも思わないような若者が多かったが、 今は社会経験がないと思われる10代や20代の若者の中にも、 礼儀正しい人はたくさんいる。 しかし、 このようなことが続くと、 さすがにがっかりしてしまう。

最近読んだ雑誌に、 これとは相反する胸が熱くなるような記事があった。 投稿者はランナーで、 某大会でフルマラソンの大会に出走したときに、 ゴール手前で足が棒のようになってふらつき、 目の前を走っていた視覚障害者にぶつかってしまったという。 相手の障害者は転倒し、 投稿者は 「すいません」 と謝りながら手を貸して起こしてあげたところ、 「大丈夫です。 私の方こそ、 足がふらついていてご迷惑をおかけしました」 と逆に詫びを言われてしまった・・というものだった。 思いやりや他人への配慮、 それは一瞬のことなのだ・・と実感してページを閉じた。



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