バックナンバー 螢光板
642号/2014.4月号

お化けはいるのか、いないのか。「自分は実際にこの目で見た」という人もいれば、「そんなものは空想の産物だ」という人もいる。もしいるのであれば、お化けを捕まえてくれば存在は証明できる。しかし、絶対に存在しないということを証明することは難しいだろう。

『弱酸性の溶液に浸けるという単純な刺激で、 分化した細胞が様々な臓器の細胞に成長しうる万能性を得た』。今年1月に科学雑誌「ネイチャー」に発表されたSTAP細胞は、30歳の女性が研究を主導したこともあって華々しく報じられた。しかし、その後2か月足らずのうちに多くの疑義が指摘され、共同研究者からも論文の取り下げを求める声が上がるなど前代未聞の事態となった。さらに理化学研究所(理研)は筆頭著者の不正行為を認定し、さらにデータの確認などを怠ったとして共著者の責任も指摘した。理研の会見は4月1日に行われたが、まさかこれはエイプリルフールではあるまい。

STAP細胞の問題は、日本の科学研究の信頼性を損ないかねない残念な事態であるが、理研の対応を見ていると、研究者個人の不正として片付けようとしているように映る。理研は今回の原因や背景を徹底的に分析し、再発防止策を考えなければならない。

理研は1年程度かけてSTAP細胞の検証実験を実施する予定だが、STAP細胞が存在するという科学的根拠を認めていない組織が、中立の立場で検証を実施できるのだろうか。はたしてお化けはいるのか、 いないのか。1年後には、理研は納得できる説明をしてほしい。



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