バックナンバー 螢光板
643号/2014.5月号

学会その他、さまざまな用事で長距離の移動を強いられることが多い。空港やターミナル駅などで僅かな時間ができると本屋に立ち寄ることにしている。最近、タイトルに惹かれて買った「読むだけで運がよくなる77の方法」という小さな本の最初の方に、高齢の腕のよい大工の逸話があった。

引退しようと決めた大工に雇い主が、「もう1軒だけ家を建ててくれないか」と頼み、大工は引き受けた。やる気のない大工は、彼の人生で恐らく最も粗悪な、いい加減な家を建てた。完成した日、雇い主は大工に「この家は、君へのプレゼントです」と言って玄関の鍵を渡した・・という話だ。この大工が、自分が住む家を建てると知っていたら、もっと一生懸命仕事をしたのではないだろうか?文末に「いま取り組んでいることに全力を尽くすと、思いがけないところから幸運がもたらされることが多い」と書かれていた。

同じ本に、「やればできる・・はウソじゃない」という記述もあった。私は、この文言が好きだ。自分が望むことを実現させることが困難に思われるとき、机上で計算して「きっとダメだ」と諦めるのは私の本意ではない。周囲から、「できっこないのに、どうしてそんなことをしようとするのか」と言われるようなことに随分チャレンジしてきた。その最たるものは、医学部受験だった。今、私は医師として働くことができているから「やればできる」を実現したことになる。「急いては事を仕損じる」から、慎重に行動することも必要だが、若い人達には、萎縮せず伸び伸びとした人生を歩んでもらいたい。



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