バックナンバー 螢光板
646号/2014.9月号

医療機器の進化とともにデジタル情報化の波が急速に広がりをみせて、医療現場では規模の大小はあっても確実に浸透している。最近の診療室は電子カルテを中心にPACS(医療用画像管理システム)およびプリンターの三点セットが配備されて、これにキーボードが加わる。

特筆に値するのは画像観察方法の進化であろうか。これまでの画像診断用にはシャウカステン(Schaukasten)が観察の主役であった。因みにschauは観察、kastenは箱であるが、和名はX線観察箱という。X線の発見(1895年)当時の記録は専ら乾板が、やがてフィルムへ時代へと進化し、同時に誕生したシャウカステンにも百年余の発展の歴史がある。結核の華やかなりし頃の症例検討会、患者および家族への説明などの場面が思い出されるが、今や名誉ある引退を余儀なくされている。

今回、新たに登場したのがPACSで、これは重量級のビューアー(読影用末端)である。撮影された画像はLANを通してサーバーに保管され、直ちに現場へ送られる。単純写真は勿論の事、CT、MRI、内視鏡などの画像が鮮やかに提示される。しかも画像の濃度調整、拡大なども自在で、過去に撮影された画像も同時に呼び出して比較検討が可能という機能もある。

さらに、これまで難渋してきた人手によるX線写真の管理保管が不要となり、まさにフィルムレス時代の到来である。遠くない将来にはコンピューター支援による診断の時代が出現し、X線フィルムそのものを見たことのないという医師が出現するのであろうか。



▲ページの上へ