バックナンバー 螢光板
648号/2014.11月号

少子高齢化が言われて久しい。地方には過疎化の波が容赦なく押し寄せている。ところが人口が増え続けている貴重な村がある。引退した人や別荘代わりの住人で人口が増えている村もあるが、これから述べる村は若年人口が増えている村である。しかも都内である。

答えは東京都小笠原村。転入人口が転出人口を上回り、村の平均年齢約40歳は全国の1957市町村のうち若い方から27番目である。65歳以上の人口割合に至っては約1割で全国市町村の中で1番少ない。当然、国民健康保険の1人当たりの医療費は全国で最も低い(157、649円)という結果になる。聞けば温暖でのびのびとした環境にあこがれた島外出身の若い夫婦が転入して子育てをしているという。2010年の統計では人口は2785人であるが、死亡8人に対して出生は40人の自然増である。

村内に病院はないので出産は本土に行かなければならない。空港がないので航路で東京まで約1000㎞を丸1日かかる。大型小売店もない、国道もない、図書館もない、公民館もない村である。それでも自然にあこがれた住民の転入は増え続けている。人口は46年前の本土復帰時の約4倍になっている。山間部の限界集落には申し訳ないが地の利にはかなわないということだろうか。

ところで駅から至近とはいえない板橋区大谷口の日大板橋病院の1日の外来患者数は約2300人である。都心のほぼ同じ1000床規模の私立大学病院と外来患者数は比肩しうる。地の利は良くないが健闘していることを誇りに思いたい。



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