バックナンバー 螢光板
649号/2014.12月号

一字でも不要な文字は省いて

はじめて書かせてもらった学会抄録に始まって論文原稿を書くときには注意され、また人にも注意してきた。ときどきページを繰る戦前から使われ版を重ねてきた愛用の作文指南書が示すところでもあった。紙、インクは有償有限で、一字でも短く表現するのが合理的だというのはレトリックのためではない。

「血算にて」、とか、「画像診断にて」などと書かれると、なぜ「で」ではいけないのか、必要性がないのではないか、ということになりいちいち直しては嫌がられた。

作文、入稿、出版と電子化されて紙、インクの節約の必要はなくなり、なかば梯子をはずされた気がする。PCから電子文書を作るのなら字数節約の謂れはない。それでも短ければ短いだけ読まされるほうの時間は経済で読者のためには短いほうがよいという事情は変わらない。

結婚式などで挨拶が長いと堂々と眠っている人がふえるがあれなどは文字数も内容も節約してほしいものだ。先日、選挙が公示となり新聞に各党党首の第一声となった演説の長さというのが出ていた(朝日12月3日朝刊)。九人の党首のうち最短が十一分、最長が二十八分だが、八人が二十分以下で、二十八分という外れ値を抜くと平均は十六分足らずとなった。聴衆には党員も多いのだろうが、寒空の下立ったままでひきつけておくには、演説に長けた党首クラスであってもこんなところが限界なのだろう。

党首ならぬ皆様におかれましては十分以下の挨拶がほどほどのところだろうと、年末年始に一言申し上げました。



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