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650号/2015.1月号

昔から「笑う門には福来たる」「一笑一若」などの諺があるが、これらは笑いが生活の中でとても大切なことを示している。

笑いと健康について報告されたのはここ十数年のことで、その先駆けとなったのは1970年代ノーマン・カズンズ氏の報告である。米国「サタデー・レビュー」誌の編集長であった彼は、1964年49歳の時に強直性脊椎炎に罹り、痛みのために歩行もできず、全快の可能性は500分の1と医師に宣告された。

従来の治療で痛みがとれなかった彼は、笑いを取り入れた治療を開始、お笑い番組やコメディのフィルムをみて大笑いする毎日を過ごした。笑いの効果はてきめんで、10分間腹を抱えて笑うと少なくとも2時間は痛みを感じずに眠れた。

そして、1週間ほどで症状が改善し始め、半年で元の編集長に復帰してしまった。その経過をNew England Journal of Medicine誌に投稿。その後、笑いが痛みに有効ではないかという検討がなされ、我が国でも落語による笑いが関節リウマチ患者の痛みの軽減に有効であると報告されている。

また「笑顔であること」と健康にどんな関わりがあるかの笑顔研究では、19世紀のフランス人神経学者が発見した「ディシェンヌ・スマイル」と呼ばれる目尻にシワを作り、口角上げるという作り笑いでも脳が前向きな状態に変化して、心だけでなく健康に良く寿命も延びるという事実も発見されている。現代のこのストレス社会で「笑いに勝る薬なし」を実践して「笑う門には健康来たる」1年を過ごしたいと思う。

(「笑いと治癒力」ノーマン・カズンズ 2001年)



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