バックナンバー 螢光板
652号/2015.4月号

今年の桜は東日本で平年より早く、西日本で平年並かやや早い開花となった。サクラが『桜』という名で明確に記載されたのは奈良時代の『日本書紀』。日本には300種類を超える桜が存在するが、遡ると数種類の原種に辿りつく。ソメイヨシノの歴史は浅く、江戸時代にエドヒガンザクラとオオシマザクラの交配によって誕生した。自然繁殖が出来ないため増殖には人の手による挿し木や接ぎ木が必要だが、美しい花が人々の心を捉えた結果、いまやソメイヨシノは日本に植えられている桜の8割を占める。

ソメイヨシノは寿命60年程度といわれる。終戦直後に植栽された樹木は現在、衰退期を迎えて、倒木の危険が高い銘木が次々と伐採されている。母種のエドヒガンザクラのなかには樹齢千年級のものが存在するが、長命の親から誕生したソメイヨシノが薄命とは気の毒なことだ。最近では植物の多様性が見直され、ソメイヨシノ以外の品種も植えられることが増えてきた。

桜の開花は1年も前から準備されている。春に花びらが散ったあと、夏から秋にかけて気温の高い時期に花芽(生長すると花となる芽)を作る。そして冬が始まると一旦は休眠状態に入るが、気温が更に下がる真冬になって目を覚まし、それから気温が上がるにつれて一気に生長する。そして春の日差しを浴びて一斉に開花する。厳しい冬の寒さに耐えるからこそ美しい花を咲せることができるのである。人生も…自分の想いを成就させる為に努力し、蓄え、機を窺う。美しい花を咲かせるには長い準備と忍耐が必要なのであろう。



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