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657号/2015.10月号

今年の9月、高速道路を逆走する高齢ドライバーの映像が、ニュースで放映されて話題となった。幸いなことに事故を免れたが、運転手は高速道路だとの認識が無かったという。平成23年からの2年間には、高速道路における逆走の発生は541件あり、65歳以上の高齢者による逆走が約7割を占め、認知症の疑いや、飲酒などの運転が約4割を占めたという。高齢社会となった日本では、4人に一人が65歳以上であり、高齢ドライバーの増加は避けられない。

一方、プロのドライバーにも高齢化が進み、タクシー運転手の平均年齢は57・6歳であり、全産業の平均42・5歳よりかなり高い。同窓の中には、産業医を兼務されている方は多いと思うが、昨年から筆者も、あるタクシー会社の産業医を兼務している。これまでに、大学病院や関連病院に勤務した経験はあったが、健康管理の対象者が全く異なる世界に驚かされた。道路旅客運送業における健康診断の有所見率は72・0%であり、全業種の平均値53・2%に比べると非常に高くなっている。運転手の年齢が高くなれば、当然検査異常値の出現率は高くなるが、高血圧症、糖尿病、高脂血症などにて加療中のケースが多い。しかし、タクシー業界の新しい動きとして、大学の新卒を積極的に採用し、若返りを図ろうとする会社がある。この会社では、2014年度に113名、最近の5年間で400名以上を採用している。

自動車の運転には、過信が禁物である。筆者のような老人は過去の運転実績に囚われず、公共交通機関の利用が安全だろう。



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