バックナンバー 螢光板
659号/2015.12月号

先日学会のため札幌に出張した。現地在住の友人と久方ぶりの再開を祝し、ジンギスカンを楽しんだ。生産量が少ないため滅多に食べられないという北海道産サフォークラムは、臭みは少ないけれども羊独特の風味がしっかりとしていて、軟らかく大変美味であった。最近は東京のスーパーでも牛、豚、鶏肉にならんでラムやマトンをよく見かける。羊肉も一般的に食卓に上るようになってきているようである。

医学用語にも「羊」がつく単語がある。羊膜は子宮の中で胎児を包んでいる膜で、胎児由来の細胞からなる。また、胎児は羊水中に浮かんで成長する。なぜ「羊膜」「羊水」と、妊娠・胎児に関わる言葉に「羊」がつくのか疑問に思い、調べてみた。羊膜は英語でamnionだが、これはギリシャ語のamnos(子羊)に由来する。古代ローマ時代のギリシャの医学者Rufusが著した書物に「胎児は肌着で包まれている。その肌着は薄く軟らかい。それのことをamni’onとよんでいる」とあり、既に紀元100年ごろには、胎児を包む膜をamnionとよんでいたようである。残念ながら語源ははっきりしなかったが、当時から羊が人間の生活に極めて身近な動物であったことがしのばれる。羊膜は分娩後に不要となり捨てられる運命だが、近年では羊膜を用いた再生医療に注目が集まっており、臨床応用への発展が期待される。

さて、ひつじ年の平成27年も暮れゆこうとしている。医学部では新カリキュラムが導入された元年でもあった。来年はさる年。どうぞ、よいお年をお迎えください。



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