バックナンバー 螢光板
662号/2016.4月号

医学を意味する英単語はMedicineである。しかし辞書を調べると最初に示される意味は医薬品であり、医学・医療は、医薬品を使った学問や治療として2番目に示される。一方漢字の場合医は本来「醫」で、酒壺(酉)に入った薬草で矢(危険)を囲い込む(匸)ことを意味しており、洋の東西を問わず薬が重要な関わりをもっている。

薬はそれぞれ独特の作用をもっている。しかし複数の薬を配合して投与すれば単独の作用が修飾されることもいうまでもない。相互作用である。多くの場合、薬を単独で処方することは少なく、複数の薬が同時に投与される。先日一枚の処方せんを見て唖然とした。二十数種類の薬が記載されていたのである。現在使われている薬の多くは対症療法薬であり、症状に合わせて薬を使うとこうなるのかと呆れてしまった。薬を併用すれば、互いに相互作用を起こして予期せぬ(もちろん薬を理解していれば予期できるのだが)事態が引き起こされる。そればかりか医療経済学的にも様々な問題を引き起こす。事実、精神科領域における多剤併用大量療法が問題視され、診療報酬という飛び道具を使って制限しようとする動きまで起こっている。

一方我が国でも古くから問題となっていたが、抗生物質の過剰投与による致命的な耐性菌の発生が患者を危険にさらしていると米疾病対策センターが改めて指摘した。薬の使用方法には様々な指摘がなされてきたが、今更の感もある。医師は薬を使わなければ治療できず、必要に応じた使用が担保できるよう医薬品を正しく理解したいものである。



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