バックナンバー 螢光板
664号/2016.6月号

医療従事者にとって、医療事故の阻止は永遠の課題である。なぜならば、人間の行為はヒューマンエラーを必ず伴い、避けることができない。河野は、ヒューマンエラーは単純な不注意から起こらず、エラーを理解するためには、人間の特性と、人間を取り巻く広義の環境に着目しなければならない。さらに、ヒューマンエラーは原因ではなく、結果だという理解が必要だと述べている。

人の側面による不安全行動は、「作業に必要な知識の勉強不足」、「作業範囲とその周辺状況を把握し、作業遂行するための技術技能の未熟さ」、「安全に対する認識の欠如」、「人間の特性によるエラー」、つまり①知らない、②できない、③やらない、④ヒューマンエラーの4種に分類される。

一方、医療をリスクマネジメントから捉えると、「医療従事者が行為を行う」ことは目的が治療であっても、「患者に何らかの被害を与える」ことだと山﨑らは述べている。全ての医療従事者が自分の行為と行動について、患者へ正常でない行為すなわち危険な行為を行っているとの意識を持つことが、リスクマネジメントのスタートといえる。リスクマネジメントでは、そのペリル「危険な行為、事故の火種」がハザードと結びつき連鎖し、拡大した結果としてリスクという医療事故を発生させる。このペリルとハザードの結びつきが良好でないとき、損害「リスク」を招き入れる。ひとりの医療従事者が何か行為を行おうとしている時、それ自体が事故のペリルと認識し、意識して行動すれば、リスク「結果」を発生させずにすむのである。



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