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667号/2016.10月号

多くの臨床医の先生方は、保健所の仕事をご存知だろうか?本学を卒業された先生の中でも少数ながら保健所行政に携わっている先生が存在する。筆者もその一人である。臨床医の先生方は、多かれ少なかれ、公衆衛生行政と関わった事はあるが、国家試験対策としての公衆衛生学を学習した範疇であると思われる。そこで、保健所医師として少々申し上げたい。

臨床医の先生方が携わられている実地医療は、多くの法律や制度に基づき、公衆衛生行政という枠組みの中で行われている。医師は、医師法という身分法により存在し、医療機関は、医療法という法律により管理されている。病院は、その病院を管轄する保健所が主体となり、医療法第25条第1項に基づき、概ね年1回の立入り検査を受けている。この立入り検査では、保健所の専門職により、医療法で定められている範囲において、その内容が適切に実施されているか確認され、不適切な点があれば改善するよう指導を受ける機会となっている。

最近、南関東のある病院で、少なくとも入院患者2人以上が点滴を介したと思われる薬殺をも疑う事件が発生した。マスコミによれば、そのような不審死が、短期間の間に50人程度発生していた可能性があるとのこと。これが事実だとすれば、医療事故・医療過誤そして医療安全を考える発端となった、平成11年に発生した某大学病院での患者取り違え手術事件以来の新たなパターンの事件である。同窓の先生方におかれましては、上記の様な事件に対して厳しい見識を持つ「良き臨床医」であって欲しいと考える。



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