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676号/2017.9月号

本学のキャンパスに医聖に因んだヒポクラテスの木(樹)があるのをご存知ですか。本館の南西の奥にある2本のプラタナス(鈴懸の木)がそれで、四方に大きく枝を広げて緑陰を落としている。その下には寄贈者の駿一会(1回生)の手で建てられた医頌(昭和56年11月)があり、これには「若人よ 来たり憩え/プラタナスの木陰に/友よ 来たり仰がん/ヒポクラテスの遺訓を/医師ら茲に集い/共に学び/思索せん。」とある。

医聖ヒポクラテス(前460頃~375頃)は生地ギリシャ・コス島で医の倫理や医術を説いたが、その広場には今もなお後継のプラタナスの大樹があり、ヒポクラテスの木と呼ばれている。そして、世界各地で医療倫理や医学教育のシンボルとして分与植樹されている、と。

我が国への渡来は昭和44年頃からで、幾つかのルートがあり篠田株、蒲原株、緒方株などの9系統が知られている。その一つに日本赤十字社の創立百周年記念(昭和52年)にギリシャ赤十字社から贈られた24本の苗木が成長し、その後に各地の病院へ分与植樹されたようで、この系譜が最も多い。が、植樹の不具合や病虫害、施設の移転などで伐採されたものもあるが、約230本にもなるようだ。

本学のそのルーツは「ヒポクラテス会」から分譲されたもので、間もなく40歳を迎える。この樹木がさらに幾星霜を経て天を覆うように繁茂して巨幹となることを願い、医聖の箴言の「人生は短く、術のみちは長い。機会は逸し易く、試みは失敗すること多く、判断は難しい。」を心にとめておきたい。



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