バックナンバー 螢光板
678号/2017.11月号

父が85歳、母が86歳になった。二人とも病気を抱えているが元気で、多少の物忘れがあるものの、二人だけで十分生活できている。独身の妹がずっと同居していると信じていたので、1か月に1回短時間訪問する程度にしていた。

今年2月に、降ってわいたように実家のリフォームが始まって、10年以上老夫婦二人だけの生活だったことを知った。何をどうすることもできず、リフォーム費用を誰が出したかもわからなかったが、この騒動で体調を崩した両親を放っておけず、頻繁に様子を見にいくようになった。半年ほどしてリフォームが終わり、仮住まいをしていた両親が元に戻った。妹が数か月遅れで同居することになっていて、一件落着と思えた。ところが、その時期になって、今度は同居生活の種々の問題が噴出して騒動になった。家族中が険悪なってしまって、「これをどのように解決するか」で私は眠れなくなった。

仲裁役である私は、両親もしくは一方が実家を出ることも解決の方法と思い、住居を探した。そこで初めて、80歳代の高齢者が賃貸住宅を借りるのが困難であることを知った。結局、私が金銭負担をするという条件で、父にサービス付き高齢者住宅に移ってもらい、母は実家で妹が面倒をみることになった。父は、「長年慣れ親しんだこの土地なのに、なぜ俺が出ていかなければならないのか」と不満であるが、家族会議を繰り返した結果である。年月を経たとき、この選択が正しかったかどうかがわかると思う。家族皆の心にしこりが残った。私は、母や妹がいる実家には二度と行かないと心に決めた。



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