同窓新聞
第750号(2025年3月号)
2025.04.30
螢光板
実家の台所を片づけた。もう何十年も前に、母がお嫁入道具として持ってきた食器が出てきた。両親が結婚したのは昭和20年代最後の頃で、物が不足していた時期だったと聞いている。洋食器や和食器のセットは毎月少しずつ購入したものだったらしい。鍋は闇市で買ったと言っていた。決して良いものではなく、長い間にベコベコになったが、それでも捨てがたかったようで、亡くなるまで手元に持っていた。そのような食器を仕分けているうちに、直径10㎝程度の細工がしてあるガラス製の皿が出てきた。当初は5枚組だったはずだが、見つけたのは2枚だけ。幼い頃、夏の暑い日に、母がかき氷を作ってこの皿に入れてくれたことを思い出した。当時、氷は氷屋で買うものだった。買ってきた四角い氷を削ってかき氷にするような道具もあったが、それは見つからなかった。懐かしくて、その皿は自宅に持ち帰ってきた。割れないように、食器棚にしまい込んである。不思議なもので、決して高価ではない数々の食器だが、それを使った情景は脳裏にしみついている。高齢者が「そんな古いもの、捨ててしまいなよ」と周囲の人に言われても処分できない理由が、わかったような気がした。
目次
1面
- 令和6年度 大学院医学研究科・医学部 学位記伝達式挙行
- 我が学生時代 矢久保 修嗣(57回生)
- 螢光板
2面
- 卒業を祝して 会長 吉澤明孝(58回生)
- 卒業を祝して ~未来への飛躍:医師としての第一歩を踏み出す皆さんへ~ 医学部長 木下浩作(60回生 救急集中治療医学分野)
- 学長賞受賞にあたって 児玉侑子(令和7年3月卒業)
- 論壇 同窓生と赤の他人(C.S)
3面
- 新キャンパスへの道 新看護専門学校・新学部棟・新病院棟の進捗状況(速報) 医学部長 木下浩作(60回生)
- 看護専門学校校舎の地鎮祭が挙行 医学部長 木下浩作(60回生 救急集中治療医学分野)
- 令和7年新春講話要旨「日大医科の歴史―昭和の激動と共に生き、今、創設100年を迎える」 日本大学医学部創設100周年記念事業準備委員会、記念誌編纂委員長、日本大学医学部同窓会監事 西成田 進(46回生)
- 新 同窓会長室から(3) 会長 吉澤明孝(58回生)
- 60周年記念文庫(91) 「介護職さんは宝だ」大井洋之著 フジメディカル出版 西成田 進(46回生 同窓会監事)
4面
- 学芸 膵癌・胆道癌の薬物治療の進歩 日本大学医学部内科学系 消化器肝臓内科学分野主任教授 木暮宏史
- 若い人たちにお薦めする3冊の本 内科学系血液膠原病内科学分野准教授 北村 登(59回生)
- 2月定例理事会
5面
- 3月定例理事会
- 我が学生時代 鈴木康之(73回生)
- 顔 大谷直樹先生 日大医学部同窓生が誇れる日本大学脳神経外科であれ 日本大学病院 脳神経外科 医局長 吉村相大(86回生)
6面
- 心に残っている患者さん 唐澤医院院長 唐澤賢祐(57回生)
- 心に残っている患者さん 本藤整形外科院長 本藤寛之(57回生)
- 動向(令和7年1、2月)
7面
- 新型コロナワクチン定期接種率低迷の報道「スワ、また大量廃棄が起こるかもね!」 名誉教授 荒川泰行(40回生)
- 同窓会だより
・2024.10.19 神奈川県医学部同窓会総会 横浜ベイシェラトンホテルにて 吉川琢磨(64回生) - 今、学生は…(116) 小児糖尿病キャンプ部主将 小村優太(医学部3年生)
- キャンパスにみるアングル ―ヒポクラテスは何処へ?―
8面
- 同窓会だより
・蝦蟇会(日本大学医学部昭和46年度卒)卒後50周年記念同級会 竹内 東太郎(45回生) - 医局紹介 日本大学病院レディースセンター 谷 眞弓(57回生)