同窓新聞
第581号(2008年3月号)
2008.05.28
螢光板
近頃どうして?と思うことが多くなった。そのひとつは大人が簡単に怒りを公的な場で爆発させるようになったことである。
米国留学中にTVで見た阪神淡路大震災では政府の対応が遅かったにもかかわらず、日本では暴動が起こらず、避難所での整然とした行列が放映され、米国初め世界中から日本国民へ賞賛の声があがったことが遠い昔に思えてならない。
研修医に聞くと病院の現場で「キレる」患者・家族に遭遇することがこんなに多かったことは想像していなかったという。ムカツクことは今も昔も同じように起きていたはずで、それを適切・適当に処理して簡単には怒りの爆発にさせないのが大人であり、少し前までは「キレる」のはもっぱら子どもであった。
ところで「キレる」という言葉は、そもそも麻薬中毒者の間で意識が朦朧として途切れたことを言っていたらしい。しかし中学生が教諭を刺殺した事件(1998年)以来、「怒りで見境がなくなる感じ」として一般に広まったそうである(斉藤孝著「子どもたちはなぜキレるのか」)。そして最近では教育現場でモンスターペアレントと呼ばれる異常に「キレる」親が出てきたと報道されている。
医療の現場でも同様なことが起こっている。医療者に向けての暴言、暴力沙汰の報道も記憶に新しい。それならば医学生にもこのような患者がいることを前提にした医療の姿を示し、どうしたら悪い状況を回避できるのか、またいずれ遭遇した場合の対処法をも伝授しておくべきなのだろうか。
目次
1面
- 医学部学生94名・大学院生30名巣立つ
- 我が学生時代 武田 学
- 螢光板 近頃どうしてキレる?
2面
- 論壇 「よき臨床医」の卵
- ご卒業を祝して 櫻井 勇同窓会長
- 卒業を祝して 片山容一医学部長
- 第81回卒業者名簿
- 同窓会賞を受賞して 細野浩史
3面
- 新春講話 カンボジアに平和小学校を建てる-その後- 角田 勲
- 学芸 睡眠時無呼吸症候群と耐糖能異常 赤柴恒人、カット 白川貴士
- 第3回日本大学学部校友・同窓会連絡協議会が開催される 岡野匡雄
- 翠心祭出品作品水彩 鈴木祐典
4面
- 2月定例理事会
- 平成20年度同窓会医学奨励基金研究助成金受領者決定
- 顔 落合豊子教授
5面
- 3月定例理事会
- 医師は何を、誰に説明すべきか-組織運営の側面から考える(7)- 鈴木喜六
- シリーズ医療と訴訟(1) 押田茂實
6面
- 医学部長室から(10) 片山容一
- 知っていますか?医学部史料室(89):カール・フォン・リンネ 宮川美知子
- ニューイングランド医学雑誌に日大消化器外科の論文掲載 高山忠利
- 60周年記念文庫(71)「長寿と俳句」 菊池恭三 池松亮子 西成田進
- 若い人たちにお奨めする3冊の本 角田和男
7面
- 「蒔田研究費」と平成20年の私 富田 寛
- Around the World〜この時、世界は〜(2008年1、2月)
- 内山照雄君の死を悼む 勝呂 長
- 73回生松田裕之君が日本学術振興会特別研究員に選定される 福田 昇
- 日本大学医学部80周年記念事業募金寄付者一覧
8面
- 世界の中の日本 中川滋木
- 同窓会だより 三十回旅行、ピッツバーグ同窓会