同窓新聞
第598号(2009年11月号)
2010.01.25
螢光板
映画「私の中のあなた」を観た。物語は母親の強い意思によって、姉の命を救うためにドナーとして生まれた、という少女のショッキングなモノローグから始まる。家庭は両親と姉と兄との5人で、ごく普通に強い絆で結ばれていた。問題は姉が2歳の時から前骨髄性白血病との闘病中で、そのため妹は姉のため、これまで臍帯血や骨髄など様々な臓器を提供してきたが、今回の腎移植は拒否する、という。父親は黙って見守るだけである
少女は思い余って、「自分の身は自分で守りたい」と、貯めていたもの全部を持って弁護士のもとへ駆け込む、という展開。母親自身も弁護士であるが、長女の命を救うために、仕事も投げ打って盲進してきたので、よもや妹が拒絶するなどとは思ってもみなかった。少女は11歳になって初めて自分の将来を考えるようになり、大好きな姉のためであっても、腎臓提供は納得できないという心の葛藤に悩む
母性愛は理屈ではない。が、そのために一見、平静な家族のひとりひとりが深く苦悩する姿を克明に画いている。ここでは、白血病そのものの深刻さは避けており、むしろ同病者とのロマンスや少女たちの素晴らしい勇気で難病にも明るく、ユーモアを交えて立ち向かう姿に救われる。家族が、この少女の提訴を契機にして、命の尊さや儚さを真剣に考える。やがて長女もまた、家族崩壊の危うさのあることに気づき、これまで言いだせなかった本心を母へ語り、安らかな終焉を迎える。難病と取り組む医療の姿勢、さらには生命の尊厳と家族の絆の大切さを改めて教えられた。
目次
1面
- 秋の評議員会・臨時総会開催
- 我が学生時代 飯塚正博(47回生)
- 新年交歓会 開催案内と新春講話講演者のご紹介
- 螢光板
2面
- 論壇 甲状腺癌治療の変遷
- 11月定例理事会
- 支部長・卒業年次代表者会開催 吉澤明孝(58回生)
3面
- 平成21年 日本大学医学会秋季学術大会開催される 高橋 悟(泌尿器科分野教授)
- 学芸 遺伝子の検査はすべて遺伝子検査? 中山智祥(61回生)
- 一和多俊男先生(53回生)東京医科大学八王子医療センター呼吸器内科教授に就任 長尾光修(41回生)
- 平成22年度 同窓会医学奨励基金研究助成金受領者決定 早川 智(56回生)
- 佐々木健司形成外科学教授を偲んで 野崎幹弘(43回生)
4面
- 日本大学医学部同窓会 同窓交流会 静岡・山梨の合同交流会が静岡市で開催 同窓交流会に参加して 宮川美知子(59回生)、半世紀ぶりの上井出 鈴木佑典(26回生)、故郷の晩秋の海や山に再会 勝呂 長(28回生)、同窓交流会に参加して 菊池恭三(26回生)、平成21年秋の叙勲者 旭日双光章 岡本禄太郎氏(28回生)
5面
- 知っていますか?医学部史料室(105) 宮川美知子(59回生)
- 医学部長室から(17) 片山容一(47回生)
- 日本大学医師会産業医研修会開催要項
6面
- 学術奨励賞受賞記念講演要旨 脱分化脂肪細胞を用いた再生医療 松本太郎(60回生)、子宮内膜症と免疫-特に自然免疫系への関与 千島史尚(59回生)、過大侵襲後の生体反応 木下浩作(60回生)
7面
- 平成20年度同窓会60周年記念 医学奨励基金研究助成金受領者成果報告 糸球体性蛋白尿の新規治療法の開発 宮内直子(69回生)、炎症性腸疾患とそれに合併する発癌機構の病態解明および新規治療法の開発 永石宇司(66回生)、加齢黄斑変性に対するRanibizumab硝子体内投与の効果 松本容子(67回生)、成体における血管形成機構の解明及び血管内皮前駆細胞の体外増幅法の開発 和田美夏(70回生)
8面
- 平成20年度会計収支決算書
9面
- 越永重四郎先生(15回生)を偲んで 千葉力男(34回生)
- Around the World〜この時、世界は〜(2009年10月)
- 有賀槐三先生(6回生)の思い出 菊池恭三(26回生)
- 同窓会だより 第2外科OB会、東京都北区支部会懇親会
10面
- 同窓会だより つづき ワンダーフォーゲル部創立50周年記念パーティー、女子硬式庭球部、王座奪取!東医体優勝!