同窓新聞

第601号(2010年3月号)

2010.05.26

螢光板

3次元映像で架空の美しい惑星パンドラを描いた映画「アバター」は、アカデミー賞では振るわなかったものの、全世界興行収入が史上最高額を記録した。米国では、この映画を見た後に「アバター鑑賞後うつ」と呼ばれる現象に陥った人達がいたそうである。「住人達が自然の中で平和に暮らす仮想世界に、3次元映像効果も手伝い一部の観客が強く同調し、現実世界との差に落ち込んでしまった現象」と解釈する専門家もいる。

この話を聞き、我々の業界のとある現象を思った。中長期の海外出張(客員教員やポスドクとしての所謂留学)の後に日本の職場に復帰した際に見られる「落ち込み」がそれである。競争が激しい外国でも、研究室を率いる立場や性急な成果を求められる状況に置かれていなければ、平凡な留学においては行っていることの大半は自分自身の成果や研究診療能力の向上に直結している。一方、帰国後日本の職場に戻れば、自分の業績や能力向上には直結しない仕事を行う責任や義務がある。そのギャップに「落ち込む」訳である。これは何も、海外の環境が日本より素晴らしいということの反映ではなく、単に外国ではそれらの業務を行う責任を負わない仮の立場で居させてもらったことの反映なのだと思う。

しかし最近は、この現象を味わえる人も減ってきているようである。周知のごとく大学の臨床医学系においては人員不足が極限に達している。さらに基礎・社会医学系も定員の約三分の一を他分野へ移譲したため、基礎、臨床を問わず中長期海外出張に出ることは以前にも増して困難な現状である。

目次

1面

  • 大学院医学研究科29名・医学部116名巣立つ
  • 我が学生時代(1) 林 譲治(53回生)
  • 同窓会総会告示 岡野匡雄(43回生)
  • 螢光板

2面

  • 論壇 マラソンブームとその危険性
  • 卒業を祝して 岡野匡雄(43回生)
  • 卒業を祝して 片山容一(47回生)
  • 卒業者(83回生)
  • 大学院博士課程修了者
  • 総長賞受賞にあたって 室橋祐子(83回生)

3面

  • 第104回医師国家試験合格者
  • 新春講話要旨 佐藤喜彦(36回生)
  • 名誉教授鳥山貞宜先生への感謝 大幸俊三(43回生)
  • 学芸 ロコモテイブシンドロームって何? 徳橋泰明(53回生)

4面

  • 2月定例理事会
  • 3月定例理事会
  • 同窓会副会長安藤昭四郎先生(26回生)を偲んで 田中 隆(26回生)
  • 心に残っている患者さん 井上通泰(47回生)

5面

  • 「最終講義」 三俣昌子教授(病理学分野) 楠美嘉晃、水谷智彦教授(神経内科学分野) 小川克彦(66回生)、高橋元一郎教授(放射線医学系) 矢野希世志、松本紘一教授(腎臓高血圧内分泌内科学分野) 阿部雅紀(70回生)
  • 医学部同窓生受診システムについて 田村豊幸(20回生)

6面

  • 医学部長室から(18) 片山容一(47回生)
  • 知っていますか?医学部史料室(108) 宮川美知子(59回生)
  • 若い人たちにお薦めする3冊の本 西成田 進(46回生)
  • Q&Aコーナー 久代登志男(46回生)

7面

  • Around the World〜この時、世界は〜(2010年1、2月)
  • 顔 松本太郎教授 先端医学系細胞再生・移植医学分野 麦島秀雄(46回生)
  • 5年目を迎えた日大板橋病院見学 野村洋二(42回生)
  • 落語に学ぶ雑学(5)身体編 題目:転失気 行為:放屁(おなら) 佐藤公望(48回生)
  • 新病院(御茶ノ水キャンパス構想)のための募金について 片山容一(47回生)

8面

  • 箱根駅伝の応援に関連して 武 豪(48回生)
  • 古賀信憲先生(46回生)東京都立墨東病院院長に就任 須磨 健(65回生)
  • 全学一丸となっての選挙運動 松岡豊治(21回生)
  • 同窓会だより 平成21年度 蹈仁会(39年卒)を鹿児島で開催(2)、三一会(33年卒)の集い

9面

  • 同窓会だより つづき 徳島県支部総会開催、櫻三會(30年卒)、福島県支部 平成21年度総会、栃木県支部総会開催

10面

  • 同窓会だより つづき 板橋支部総会開催さる、世田谷支部同窓会(櫻世会)総会及び新年会、第1回東松山CC・日大医学部同窓会ゴルフコンペ