同窓新聞
第631号(2013年3月号)
2013.05.22
螢光板
基本能力という観点から、歳をとることに関し、人と車は似ていると思った。22年前、ある車を購入し現在も乗っている。当時は日本車最速と謳われ、多くのサーキットで市販車レコードを樹立、レース界でも連勝記録をつくった。その車を法律の範囲内で長年にわたり徐々に改造した。
サスペンションやホイールを変え(人でいえば足腰を鍛える様)、吸排気系を変え(心肺を鍛える様)、サーキットでの事故に備え車内に鉄パイプを組込み(骨密度を上げる様)、エンジンコントロール用プログラムを変更(頭を鍛える様)等々した。しかし最近、故障も増え、特に改造部品は修理不能な場合も多く、徐々に純正品という機能的には劣る「最初に付いていた部品」への再変更を余儀なくされている。つまり人でいえば、運動、勉強をし、成長していったものが、ある点をピークに基本能力が下がって生まれたての状態に戻っていっているのに似ている。
すでに自分も基本能力の低下が始まっているのを自覚している。人は幸いにも、老化により基本能力の低下があっても、経験の蓄積などにより別の意味での向上がある。80を過ぎた父親が最近綴った文章を読んだ。息子が言うのはおかしいが、素晴らしい文章と感じた。学術論文等は例外として、年老いて基本能力が低下しているにも拘らず良い文章を書くのには、人として歳の分だけ良い経験を蓄積していなければならないであろう。自分が80歳を過ぎた時、父親のような文章を書けるようになるとは思えず、一般的な文章を書くという点で父を超せる日はこないと思った。
目次
1面
- 平成24年度 日本大学医学部大学院医学研究科・医学部学位記伝達式
- 我が学生時代 長田次夫(48回生)
- 同窓会総会告示
- 螢光板
2面
- 論壇 未来に残したいものは何か・医学部創立100周年をめざして考える
- 卒業に寄せて 同窓会長 岡野匡雄
- 卒業を祝して 医学部長 片山容一
- 卒業者(86回生)
- 大学院博士課程修了者
3面
- 総長賞受賞にあたって 西山千晶
- 学芸 不眠とうつ 兼板佳孝(65回生)
- 2月定例理事会
4面
- 同窓会長室から(33) 岡野匡雄
- 新春講話要旨 東アジアの今日と日ロ関係 法政大学 下斗米伸夫
- 3月定例理事会
- 武豪先生を偲んで 同窓会長 岡野匡雄
- 第107回 医師国家試験合格者
5面
- 最終講義 小川節郎 主任教授 麻酔科学系麻酔科学分野、池田稔 教授 耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野、竹内仁 主任教授 血液膠原病内科学分野、村井一郎 教授 医学研究企画・推進室室長、医学研究支援部門部長
6面
- Around the World〜この時、世界は〜(2013年1、2月)
- 知っていますか?医学部史料室(138) 新聞担当理事 宮川美知子(59回生)
- 戦い済んで道半ば 生体機能医学系分子細胞免疫・アレルギー学 羅 智靖
- 若い人たちにお薦めする3冊の本 物理学分野准教授 糸井充穂
7面
- 心に残っている患者さん 宮地佐和子(48回生)
- 今、学生は…(7) 1学年クラス委員 関 章秀
- キャンパスにみるアングル 大学院棟一部取り壊し(2)
- 同窓会だより 櫻三會(昭和30年卒・28回生)総会開催 勝呂 長
8面
- 同窓会だより、平成24年度奈良県支部総会開催 農野正幸(50回生)、ラグビー部創立80周年記念会開催 藤田之彦(53回生)、第98回駿山会ゴルフコンペ 木田勝信(45回生)