同窓新聞

第633号(2013年5月号)

2013.07.24

螢光板

ある時、親が研修先の病院に入院した。一泊の検査入院だから、どうということはない。でも、気分は少々複雑。就寝時刻を過ぎた頃を見計らい、そろりそろり病棟へ行く。すると、記録室に入るやいなや、スタッフに「お父さん、先生と仕草や話し方そっくりじゃない。あっ、逆か。」とか言われてしまい、動揺して思わず「そんなことはありません。顔は兎も角、そういうのは全然ありませんから。大体、皆さん。そんなに私の父親、知らないじゃないですか。」などと返す。でも、言えば言うほど笑いが大きくなるだけだった、と記憶する。

言葉で感謝したことはないが、両親のお陰でこの世に生まれたのだから、親に似たくなかった訳ではない。ただ、自分が気づいていない所を似ていると他人に指摘されると「いやいや。」となってしまう。自我が芽生え悪知恵がついても何処かに染み着いた親からの影響は、先天的か後天的かを問わず、ひょんな時に現われ出るらしい。

さらに他人の間でも、生まれたばかりのヒナが殻を破って初めて見たものを親だと思うのと同様に、初めて接した見方、考え方、方法論などは、10年、20年を経てもどこか自分の基盤の中に残り、いまだに影響を受けていると感じることがある。これは視点を転じてヒナを育てるべき立場から考えると、自分の仕業が相手に良し悪しなく受け入れられた上、それが延々と記憶に残ってしまうかもしれないのだから、頭が痛い。振り返ればあの頃を含め、父の方こそ「馬鹿だね。そこは似るなよ。」と苦笑してこちらを見ていたのだろう。今更、そう思う。

目次

1面

  • 5月定例理事会
  • 我が学生時代 堀内 篤(29回生)
  • 日本大学医学部同窓会・同窓交流会 参加募集のお知らせ
  • 平成25年春の叙勲者 旭日双光章、柏崎研氏(30回生)、武田邦彦氏(34回生)、新野晃敏氏(40回生)
  • 螢光板

2面

  • 論壇 南海トラフ沖地震とBCPそして医療
  • 最終講義 羅智靖教授 分子細胞免疫・アレルギー学
  • 日本大学医学部同窓会 平成25年度行事予定
  • 支部長・卒業年次代表者会におけるビデオセッション募集のお知らせ

3面

  • 顔 石井敬基教授(58回生) 医学研究企画・推進室
  • 学芸 諏訪の味噌工場 市立岡谷病院 白川貴志、硝子体内薬物注射と小切開硝子体手術 日本大学医学部視覚科学系眼科学分野教授 島田宏之
  • 税を考える(19)どうなった?平成25年の税制 公認会計士 税理士 松田理明
  • 旧名簿処分に関するお願い
  • 同窓会60周年記念医学奨励基金研究助成金受領候補者募集

4面

  • Around the World〜この時、世界は〜(2013年4月)
  • 知っていますか?医学部史料室(140) 新聞担当理事 宮川美知子(59回生)
  • 日本大学医学部板橋病院空襲の記録 20回生代表評議員 高橋政祺
  • (1)同窓会学術奨励賞候補者 (2)同窓会推薦講演候補者の推薦について
  • 平成25年度 夏季医学講座開催のお知らせ

5面

  • 今、学生は…(9) ゴルフ部主将 板垣陽介
  • 日本大学医学部総合健診センタ-を利用して 板橋病院循環器内科 高山忠輝(63回生)
  • 駿河台日本大学病院 一般外来診療担当医表

6面

  • 落語に学ぶ雑学(17)食物編 題目:時そば 食材:蕎麦 佐藤公望(48回生)
  • 我らが恩師 小林忠章先生を悼む 富田基治(39回生)
  • 日大医学雑誌への投稿のお知らせ
  • 日本大学医学部附属板橋病院 外来診療担当医表

7面

  • 新春講話「東アジアの今日と日ロ関係」を聴いて 名誉教授 中川滋木(37回生)
  • 同窓の付属病院受診システム
  • 同窓会だより 石原通臣 山岳部OB会長 瑞宝双光章受章祝賀会、平成24年度 山形県支部総会

8面

  • 同窓会だより 足立支部会開催、33回生(昭和35年卒)のアートに浸る旅、第一外科同窓会忘年会