同窓新聞
第645号(2014年7月号)
2014.09.24
螢光板
科学の進歩には、積み重ねられて来た「歴史」を正しく理解することと、そこで起こる現象を「想像」する能力が重要である。もっとも想像力が度を越すとSTAP細胞事件のようなファンタジーになってしまう。
製薬企業の絡んだディオバンの臨床研究不正事件が起きた。一件だけかと思っていたら白血病治療薬の臨床研究でも類似の事態が報道され、他にもありそうだという雰囲気である。医薬品に安全性と有効性が求められるのはいうまでもない。そのため臨床研究の科学的手順が整備された。しかし今日に至るまでに悲惨な薬害事件がたびたび起こった。最近我が国ではいろいろな分野で、歴史の重要性の認識が欠如しているように思われる。
医学においても然りで、研究の歴史、今回の話題でいえば医薬品開発に関わる負の歴史が、正しく教育されていたのかと疑問に感じる。また、歴史の教育は受けながらそれを無視するかのような研究者の傲慢さが見え隠れし、その結果がどうなるのかという想像力にも欠けている。再び悲惨な事件を起こさないためにも、また正しい医学研究が行われるためにも、じっくりと歴史を見直さなければならない。
ディオバン事件は単に一部の研究者の問題とみるのではなく、直接患者さんと接している医師が医薬品開発の歴史を再認識する場にしたいものである。朝日新聞7月5日号に小さな記事が載っていた。東京大学医学部の学生が、白血病治療薬の研究などを担当した自校の当事者に説明を求めているという。この小さな流れが、医学・医療の正しい進歩に繋がるか注目したい。
目次
1面
- 7月定例理事会
- 我が学生時代 村田 直(48回生)
- 医学部役員との合同懇親会 総務担当理事 吉澤明孝(58回生)
- 同窓会臨時総会告示
- 螢光板
2面
- 論壇 良きツールと良き利用者
- 住友直方先生 埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科教授就任
- 山藤勇先生(25回生)の米国市民権所得 中川滋木(37回生)
- 日本大学医学部同窓会・同窓交流会 参加募集のお知らせ
- 図書館だより
3面
- 駿河台日本大学病院の閉院にあたって 駿河台病院院長 湯澤美都子(48回生)
- 日本医師会「赤ひげ大賞」受賞の野村良彦先生(47回生) 同窓会長 岡野匡雄(43回生)
- やさしい結核対策(13) 横浜市南区役所福祉保健センター 近藤修治(75回生)
- 二輪車マナー違反=危険走行 形成外科学系形成外科学分野教授 仲沢弘明
- 「日大医学雑誌」論文募集のお知らせ
- 同窓会60周年記念医学奨励基金奨学生決定
- 同窓会推薦講演決定
- 同窓会学術奨励賞決定
- 日本大学医学部同窓会会長・監事改選に関する告示 日本大学医学部同窓会選挙管理委員会委員長 三宅 洋
4面
- 医学部長室から(35) 片山容一(47回生)
- NIH留学記 第8回「NIHノーベル賞受賞者列伝 M.W.Nirenberg」 山崎 修(76回生)
- 知っていますか?医学部史料室(152) 新聞担当理事 宮川美知子(59回生)
- Q&Aコーナー
5面
-
今、学生は…(19) 室内楽アンサンブル部主将 花井教史(医学部4年生)
-
Around the World〜この時、世界は〜(2014年6月)
-
落語に学ぶ雑学(22) 食物編 佐藤公望(48回生)
-
江戸川区支部長に谷川裕美氏(45回生)就任
-
千葉県支部長に岡 進氏(44回生)就任
-
岐阜県支部長に高井一光氏(47回生)就任
-
翠心祭・若樹祭実行委員会からのお知らせ
6面
- 同窓会だより
- 第三外科同門会総会
- 桑蓬会(昭和57年卒)同窓会
- キャンパスにみるアングル-駿河台日本大学病院 第2回- 川田 望(56回生)
- 第13回日本大学医療系同窓・校友学術講演会のお知らせ
- 同窓会費の改定について 日本大学医学部同窓会会長 岡野匡雄
7面
- 同窓会だより
- 緑陰会(昭和63年卒)碓井 亘
- 四桜会 大塚仁樹(67回生)
- 桜刀会(昭和34年卒)橋本重夫(32回生)
- 日大医学同窓新聞投稿規定
8面
- 同窓会だより
- 平成25年度北海道支部総会開催 野澤健一(51回生)
- 鵬遊会クラス会(昭和61年卒)開催 宮川美知子(59回生)
- 秋田県支部長に高橋晶氏(53回生)就任
- 学内・駿河台病院支部長に佐伯茂氏(53回生)就任
- 図書館だより
- 翠心祭・若樹祭実行委員会からのお知らせ