同窓新聞

第685号(2018年7月号)

2018.09.28

螢光板

齢を重ねると、若い頃には見えなかったものが見えてくるものだ。一方で、自分よりも年上の人と接することで、自分の将来を具体的に考えるようにもなる。国は「人生100年の時代」と声高にいうが、年金がじり貧の昨今、めでたいような、めでたくないような…。

診療をしていると90歳を超えても元気で生活している人がいる一方で、年齢不相応に年老いて見える人がいるのに驚かされる。自分は前者でいたいと心から望んで止まない。さて、身内が高齢で見守りや介護を受けるようになって、種々の手続きをすることで、思わぬ勉強をすることになった。

高齢者向け施設も、様々な種類があってわかりにくい上に、料金設定もピンキリだ。勿論、収入に応じた安価な施設もあるが、入居待ちが長いらしい。元気な身内を、老老介護の状態で自宅におくのも心配で、サービス付き高齢者住宅というのがあることを知り入居を申し込んだ。この手続きに、本人や保証人の印鑑証明、医師の診断書、支払をする人の収入や貯蓄額の証明の他、入居する高齢者の貯蓄高も確認することに驚いた。住所・氏名などを記載する書類が正副併せて14枚もあって、これを書くのに休憩を挟まなければならなかったほどだ。担当者は「(サービスがついている)賃貸マンションのようなものです」と力説する。その通りで、徘徊などがない人は出入り自由、自室にはキッチンがあるが、食堂で食べることもできるので、入居した身内は朝食のみ自室で調理することにした。

「こんな所はいやだ」と言い出すかと不安だったが、今は友達もできて楽しいらしい。