同窓新聞
第689号(2018年12月号)
2019.01.29
螢光板
日本では、人生100年時代が到来し、益々高齢化社会が進行している。一方で、人生の終わりのための活動を意味する「終活 (しゅうかつ)」なる言葉が造語、使用されている。これは、生前に自分の葬儀や墓の用意、財産相続の手続きや遺言状作成などを行い人生の終焉を迎える準備をすることである。さらに最近は、「終活年賀状」というものが広がっているらしい。「年賀状は今年をもちまして書きおさめさせていただきます」という内容が書かれている年賀状である。高齢になった方が、今後付き合いがなさそうな人に年賀状を辞めたい旨と今までの感謝の気持ちを書いている場合や、中高年の方でも、年賀状書きで忙しい年末をゆっくり過ごすために終活年賀状を出して場合もあるようである。65歳以上で終活年賀状を受け取ったことがある人は、57%というデータもあり高齢者を中心に広がっているようである。もっとも、受け取った方は、高齢になりこういう終活も有りだなと感じる場合と楽しみにしていたのに残念と感じる場合に二分される。文案提供サービス会社まで出現していることから、70-90歳代の高齢者だけでなくその世代を親に持つ40-50歳代が、体力的に年賀状を書けなくなった親に代わって終活年賀状を書くことが想定されている。ちなみに、周りで働いている20歳代の看護師たちに、年賀状を書いているかを尋ねると「めんどうくさいので書きませんよ、Lineで十分です」との返答だった。日本から古来より続く年賀状の文化までもが消えていくのかもしれないと少し寂しくなった。