同窓新聞

第725号(2022年7月号)

2022.09.30

プリズマ

毎年異常気象という言葉を聞くが、今年は例年より二十日ほど早い梅雨明け宣言であった。そして、明けてから2週間ほどして梅雨のような天気が続いている。そういえば、梅雨明け宣言後も蝉の声は聞こえていなかった。気象庁はもちろんなんらかの「梅雨明け」という定義に従って梅雨が明けたと宣言したのであろう。しかし、自然は人の決めた定義などお構いなしである。

たしかに定義というものは非常に便利である。世の事象を分類し、あるいは分解し既知の定義に置き換え、再構築して論理的に思考する道具である。しかし、便宜上つけた定義が、金科玉条として一人歩きすると今回の梅雨明け宣言のようなおかしなことになってしまうのではないだろうか。

天気の話ならまだいい。病気の診断や医学的知識に関わる社会事象はどうだろう。安易に機能性疾患の診断名をつけたがゆえに器質的な原疾患を見失わないだろうか?変異株の病原性が変化しているのに新型コロナ感染症という括りで感染症法分類を変更しなくていいのだろうか?

定義はあくまでも自然現象を理解するための道具にすぎず、定義で自然事象に対応することはできない。ただ、われわれはこの「梅雨明け」を他山の石として、日々の診療に生かすのみである。

目次

1面

  • 2022年度 第1回 医療政策講演会総論 安藤高夫(57回生)
  • 新型コロナ感染症 第7波を迎え 板橋病院 病院長補佐 高山忠輝(63回生)
  • プリズマ

2面

  • 戦後の医学部(31)―医学進学コース(三島と世田谷の「医学進学コース」)― 日本大学医学部創設100周年記念誌 編纂作業部会 部会長 西成田 進(46回生)
  • パラダイムシフト 間をおくこと 奈良田光男(30回生)
  • NASA JSC CVLab.  留学時の活動報告について。その5 中里龍生(61回生)

3面

  • 橋本修先生を偲んで 日本大学医学部 内科内科学系呼吸器内科学分野 權 寧博(65回生)
  • 今、学生は…(93) 弓道部主将 渡邊大眞(医学部4年生)
  • 喜寿を迎えてその2、能考 泉 洋一(46回生)
  • 心に残る患者さん 野村良彦(医療法人癒しの会 野村内科クリニック 理事長・47回生)

4面

  • コロナワクチンの相次ぐ大量廃棄のニュースに驚き 公立阿伎留医療センター名誉院長 荒川泰行(40回生)
  • 動向(令和4年5、6月)
  • 落語に学ぶ雑学(59)身体編 題目 万病丹 状態 腸閉塞 佐藤公望(48回生)

5面

  • 7月定例理事会
  • 同窓会長室から

7面

  • 消化器外科の紹介 外科学系消化器外科学分野主任教授 岡村行泰
  • 皮膚科医局紹介 日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野 藤田英樹
  • ゴール13 気候変動に具体的な対策を 天木 聡(52回生)

8面

  • 熊本県人会開催 横田三郎(57回生)