同窓新聞

第727号(2022年10月号)

2022.11.30

プリズマ

新型コロナウイルス感染症も発生以来3年が過ぎようとしています。我々医師は、経験したことのない事態に悪戦苦闘しながら対応してきました。この間一部医師よりの違和感を感じる発言を何回か主にメディアを通して耳にしました。「このままでは、医療は崩壊する。いやすでに崩壊している。」「休む暇なく働き通しだ。」と言ったものです。しかるべき会議等で問題点を指摘するのであればわかりましが、一般地域住民に向けいたずらに不安を煽るような発言に何の意味があるのでしょうか。矜持という好きな言葉があります。和英辞典では=prideとなりますが、私はそれ以上に内に秘めた信念、無私の自尊といったものが込められていると思います。矜持というとアルベール・カミュの「ペスト」の主人公・医師のリユの名前を思い出します。20世紀初頭の北アフリカでのペストによるロックダウンの中で医師としてできることはほとんどありません。治療らしきことは行えず、トリアージや死亡確認の毎日ですが、絶望することなく寡黙に自分に課した義務を粛々と遂行していきます。本来我々は患者を目の前にして、忙しいだの疲れているだのといった泣き言をいうような教育は、受けていません。同窓会の先生方も、黙々と新型コロナ感染症に対応していることと思います。私も矜持を胸に診療していきたいと考えています。

目次

1面

  • 同窓会創立記念日式典 会員交流委員会委員長 安藤高夫(57回生)  
  • プリズマ

2面

  • 《令和4年度 第1回 学術講演会 要旨》内戦後のカンボジアでの医療ボランティアと下肢創傷処置料新設 杏林大学医学部 形成外科教授 Act Against Amputation 代表理事 大浦紀彦(63回生)
  • パラダイムシフト 中川滋木(37回生)
  • 落語に学ぶ雑学(60)食物編 題目 泣き塩 食材 塩 佐藤公望(48回生)

3面

  • 戦前から戦後にかけての医学部事情(33)―あとから入学して先に卒業 戦後の珍事― 医学部創設100周年記念誌 編纂作業部会 西成田 進(46回生)
  • 今、学生は…(95) 水泳部 前主将 田辺 凌(医学部4年生)
  • 〈地域社会へのリアルな情報発出〉新型コロナウイルス感染症からの脱出ゲームのなかで“うつらない・うつさない”ための行動変容とワクチン接種の意義(前編) 日本大学名誉教授 公立阿伎留医療センター名誉院長 荒川泰行(40回生)

4面

  • 10月定例理事会
  • 同窓会長室から

5面

  • 第一号議案

6面

  • 臨時総会資料

7面

  • “ノーサイド” 加部吉男先生を偲ぶ 石原通臣(40回生)

9面

  • 「小さな言葉、大きな言葉」 佐藤直美(旧姓:堀井・53回生)
  • 医局紹介 循環器内科医局紹介 日本大学医学部 内科系循環器内科学分野 准教授 永嶋孝一(78回生)
  • ゴール15 陸の豊かさも守ろう 天木 聡(52回生)

10面

  • 関西ブロック 合同支部会開催 荒木南都子(63回生)
  • 43回生 帝国ホテルに集う 延期の50周年記念クラス会開催 石川紘一(43回生)
  • ドイツからの留学生 Sven Becker君との友情 佐藤 温(67回生)